丸米醬油について
蔵元あいさつ
幾度となく醤油に改良を重ねた結果、いつもの仕込みに⽴ち返る。
毎年その繰り返しである。
先代から常々⾔われていた、「お客様が丸⽶醤油に求めている味をおろそかにしてはいけない、奇をてらう醤油、これ⾒よがしな主張をする醤油を避け、素直でつつましい醤油造りを⼼がけるように」との教えは現在も⽣きています。
私は、丸⽶醤油を使って幸せそうに⾷べてくれるお客様の顔を思い浮かべ、元気になってほしいと願い、丹精を込めて醤油造りをしております。まだまだ到達には⾄りませんが、⾷材を活かす存在感はあるが、主張をしない醤油を⽬指して、⽇々精進いたします。
今後ともよろしくお願いいたします。
2022年11月
丸米醤油醸造合同会社
三宅 文尚
丸米醤油が愛される理由
醤油づくりのこだわり
丸米醤油の考える醤油とは、あくまで「引き立て役」であり、「調整役」であるということです。例えばお盆の時期に旬を迎えるトウモロコシが偶然手に入り、炭火で焼いたとします。この時、1年で一番味の濃い時期のトウモロコシに醤油を塗りたくっては、どうにもくどく感じてしまうでしょう。その素材の美味しさの最高値に達している味は、何をしてもそれ以上の美味しさを作ることは不可能で、醤油はむしろ邪魔にさえなります。
美味しい理由
- ほんのり甘くて濃厚
- 塩分が低く丸みがある
- 旨味成分が豊富で伸びが良い
―では、醤油とは何か?―
それは、最高値に達した食材同士を調理する時に発揮されます。お互いの持つ美味しさによって、お互いの味を台無しにしないようにする役割を担うことなのです。旬の食材はそれ単体だと最高ですが、他の食材と料理した時にはまた事情が変わります。異なる食材同士の手を結ばせ、美味しさの科学反応を生み出すのが醤油の調整役たる所以です。
あるいは、食材によっては、醤油はさらに素材の本来持つ味以上に美味しくすることができます。丸米醤油の甘い醤油は、瀬戸内海の荒波で育った鯛のような白身魚においては、その身が持つ淡白でコリっと引き締まった触感の刺身に付けると、舌がとろけるくらいに美味しくなります。素材の味そのままに、美味しさをより私たちの舌が感じるように引き立ててくれるのです。
この2つの役割を軸に、使いやすいお醤油を皆様と一緒に作り上げて来ました。誰でも簡単に美味しい料理が作れるよう、旨味の濃いお醤油作りにこだわっています。優しく、まろやかで味が決まりやすい、頼もしいお醤油となっています。
今の丸米醤油の味になるまで
⼟地に根付いた味づくり
丸米醤油の醤油の味が今の形になったのは、瀬戸内海の特殊な気候によりもたらされた海の幸を、より美味しく味わうためと考えています。
特に丸米醤油は、醤油屋としては倉敷市の中でも小規模で、製造した醤油を外界に出荷等しておらず、周辺地区での消費を目的とした生産量の醤油づくりをしており、地のものを最上級に美味しく味わい、その土地の人々の生活に根付いた醤油として進化してきました。
大きな醤油の生産地として発展してはいませんが、日本中にはそうした極めて個性的なその土地その土地に根付いた醤油蔵が存在し、地域の味の土台として今でも多くが生き残っています。
素材選びのこだわり
中国地方の綺麗な水と、厳選された原料で作っています。
安心して使い続けられるよう材料はシンプルにしているため、醤油そのままの美味しさを味わうことができます。商品は濃口醤油を基本として、醤油を二度仕込んだ再仕込醤油、淡口醤油など幅広く製造しております。
職人と技
40年の経験で培われた技術と勘
長年培われてきた職人の勘、経験、確かな技術で作っています。
醤油づくりは11代目が行い、岡山県の醤油組合でJASの「唎味(ききみ)検査委員」として醤油の官能試験官を務め、数値には出てこない醤油の性質を述べ12万検体ほど自身の感覚を用いて検査をしてきました。現在では岡山県で1人しかいない日本醤油研究所認定の醤油醸造技能者の資格保有者です。 40年の経験で培われた職人の勘で作る醤油は、繊細な香りと濃厚な旨味のバランスのよい味です。日本全国の醤油品評会でも数々の賞をいただき、自信を持っておすすめしています。
成分分析にもとづいた品質維持
40年の経験で培われた技術と勘
醤油づくりの根本は科学であり、醤油屋は科学者であるのが当主の考えです。商品開発や、品質維持のために成分分析所を蔵に設けています。醤油の出来栄え、味の構成など、醤油をあらゆる観点から測定し、求めている商品を作りあげています。
生揚げの塩分濃度、旨味の元となる窒素分、その他さまざまな成分を分析しています。生揚げは出来上がりの状態が様々で、製造ロットごとに毎回成分が変わるため、同じ品質で出荷できるように厳重に計測して調整を行います。
醤油づくりの設備
醤油蔵
築200年以上経過している醤油蔵です。
醤油の火入れタンク
醤油の元である生揚げが仕上がった後、火入れタンクの中で塩分調整を行い、各種調味料を配合した後、蛇管式熱交換器にて熱を入れます。
詰め場
一升瓶や1.8リットルのペットボトルは先代より受け継いだテコの原理を用いた液体充填機を使い、それ以下のサイズは手作業で容器に詰めます。
ビン洗い場
一升瓶を1本1本丁寧に洗っていきます。高温のお湯で洗うのですぐ乾き、衛生面ではこれ以上ないくらいです。
検品、出荷場所
瓶詰をした後、手作業でラベル張りをします。この時、1本1本商品の最終チェックを行い、出荷できる状態か検品します。
成分分析所
製造ロットごとに毎回成分が変わる生揚げの状態から同じ品質になるよう調整して出荷できるように厳重に計測しています。
売り場
今年、蔵の入り口に、商品売り場を設置しました。丸米醤油で製造している多数の醤油を手に取っていただきながら、特徴を説明いたします。
大豆畑
次期代表の長女により植えられた大豆畑が蔵の裏手にあります。大豆の成長、特性を知るために地元の大豆農家さんより苗をいただき、3年前から育てています。今後収穫量が上がってきたら、実際に試しに醤油の原料に使用してみる予定です。自分の育てた大豆がどんな醤油になるのか、とても楽しみです。
お取り扱い店舗
丸米醤油株式会社
岡山県倉敷市連島町西之浦5283
日本郷土玩具館
岡山県倉敷市中央1-4-16
マルシェにて販売を行っております。
出店スケジュールは毎月変わるため、イベントページにてご確認をお願いいたします。
会社概要
- 社名
- 丸米醤油醸造合同会社
- 本社所在地
- 〒712-8001 岡山県倉敷市連島町西之浦5283
- 電話番号
- 086-465-5426
- 創業
- 元治元年(1864年)
- 代表者名
- 三宅文尚
- 事業内容
- 醤油の製造販売